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インスリン分泌機構とインスリン分泌刺激薬

食事によって炭水化物が消化・吸収され、血中グルコース濃度が上昇する。このグルコースが各組織へ運ばれてエネルギー源となるが、各組織へグルコースを運ぶホルモンはインスリンのみである。なぜインスリンのみか、その答えは上記した、人類というか哺乳類の誕生過程にあると思われる。ともかく、細胞内へ流入したグルコースはグルコキナーゼによってリン酸化され、G-6-Pとなり、その後、解糖系を経てピルビン酸となり、ピルビン酸はミトコンドリア内へ入り、TCA回路を経て、ATPが産生される(下図参照)。その結果、ATP/ADP比が上昇し、このATPがATP感受性K+チャネルを閉鎖する。通常、ATP感受性KチャネルはATP/ADP比の上昇によって閉鎖される。

 

膵β細胞内は、-70mV程度マイナスとなっている。プラスに荷電しているK+イオンが外へ流出する分、細胞内はマイナスの方へ傾く。しかし、ある程度マイナスになると、K+イオンが引き寄せられて平衡状態に達する。この平衡状態の電位が-70mV程度となる。ATP感受性K+チャネルが閉じて、プラスに荷電したK+イオンが外へ流出しなくなると、細胞内はプラスの方向へ傾く。これを脱分極という。この脱分極は、グルコース濃度の上昇から数分以内に起こる。-30~-50mV程度まで脱分極すると、それに応じて電位依存性Ca2+チャネルが開き、スパイク電位を発生する。電位依存性Ca2+チャネルからCa2+ イオンが細胞内へ流入する。インスリン分泌にはCa2+ 流入が必須である。Ca2+ イオンは、シンスリン分泌顆粒を刺激してインスリン顆粒の開口放出を引き起こす。分泌顆粒が開口放出する過程には、数種のタンパク質が関与するが、ここでは詳述しない。

なお、膵β細胞には、電位依存性Ca2+チャネルが複数の種類があり、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬で抑制されない高グルコース刺激におけるインスリン分泌は血管平滑筋における電位依存性Ca2+チャネルとは別の種類の電位依存性Ca2+チャネルが関与すると考えられている。ここでは、そのチャネルの種類等については詳細に記述しない。例えば、高血圧患者さんは、高血圧治療薬であるジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を服用している場合が多い。この薬物は、抵抗血管の電位依存性Ca2+チャネルに結合して、このチャネルから血管平滑筋へのCa2+流入を抑制することによって血管を拡張させて血圧を下げる。しかし、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬によって膵β細胞上の電位依存性Ca2+チャネルが抑制されたとしても、別なタイプの電位依存性Ca2+チャネルが開き、このチャネルからCa2+ イオンが流入するので、インスリン分泌には支障はない。生体はうまい具合に出来ているものだとつくづく思う。

では、上記のインスリン分泌機構で全て説明できるかというと、そうでもない。ATP感受性K+チャネルが欠損したマウスでも、摂食後にある程度のインスリン分泌がある。このことは、グルコース刺激以外でもインクレチンが細胞内のcAMP濃度を上昇させ、PKA(protein kinase A)によって電位依存性Ca2+チャネルがリン酸化されてCa2+が細胞内へ流入してインスリン分泌を促すことが考えられる(上図参照)。電位依存性Ca2+チャネルがリン酸化されると、Ca2+チャネルは開きやすくなり、開いている時間も長い。インクレチンとしては、GLP-1 (glucagon-like peptide 1), GIR (gastric inhibitory polypeptide), PACAP (pituitary adenylate cyclae-activating polypeptide)などがあり、いずれもインスリン分泌を促進する。

 

出典:星薬科大学